2.ゴルフと心筋梗塞

喜多 利正 
心臓病センター榊原病院名誉院長

 健康維持、健康増進のためには適度な運動習慣が必要です。なかでもゴルフは素晴らしい要素が多いスポーツで、適切な環境で無理をせずに行えば、生涯スポーツの一つとして最もふさわしい種目です。
 ゴルフの特徴は、性別を問わず幅広い年齢層で楽しむことが出来、またハンディがあるので上手、下手一緒に出来ます。運動強度は4メッツで、1ラウンド約4時間半とすると健康のための運動指針2006によれば18エクササイズになります。カートを利用しても1万歩以上歩きますし、約1000kcalの消費エネルギーになります。私もハンディを沢山もらって、広々とした緑のコースを日光のもと、気の合った仲間と時々ゴルフを楽しんでいます。
 一方、ゴルフプレー中に心筋梗塞の発作を起こし当院に救急搬送されることが一年に3〜4回あります。岡山市北部とか赤磐市のゴルフ場から近くの病院を経由して来ます。早く専門病院まで搬送されればカテーテル治療(バルーンによる拡張、ステントなど)で早く元気になれます。しかし、東京都監察医務院のデータによれば、中高年のスポーツ中の突然死が一番多いのはゴルフプレー中で、死因は心臓疾患が圧倒的に多い結果です。他のデータによれば、ゴルフ中の心筋梗塞は必ずしもパッティング中に多くなく、ティーショットの後、歩行中にもおこっています。脱水、睡眠不足、ストレス、直前のアルコール摂取などが誘因になっている例がありますが、プレー中に発作を起こした例の殆どが男性で、心筋梗塞を起こし易い冠危険因子(喫煙、高血圧、高コレステロール、糖尿病、肥満)を一つ以上必ず持っています。また中高年のプレーヤーは体力の自負心が強く、無理をしがちになることも悪影響します。発作のあとで聞きますと、殆どの例がこれまで何の症状も無く、元気に仕事も、スポーツも出来ていたので、心臓発作で倒れるとは夢にも思わなかったといいます。
 従って、中高年のゴルフプレーヤーはゴルフをレジャーではなくスポーツとして楽しむために、検診で定期的に冠危険因子をチェックし、あれば是正が必要ですし、日ごろから少なくともウォーキングなどのトレーニングを続けておくと安心してゴルフを楽しむことが出来ると思います。